打つスピードに緩急をつけるか、打音に強弱をつけるか。

和太鼓の演奏でできることは、大きく分けると基本的にこの2つしかありません。
これを、「2つしかない」ととらえるか「2つもある」ととらえるかによって、楽曲の可能性は大きく左右されるわけですが、しかしそれは、あくまでも“技術的な側面”でのこと。

大切なことは、打ち手が聞き手(お客さん)に、何を伝えようとして演奏するかということです。
曲にはそれぞれ物語があり、その物語に沿ってフレーズがあります。
果たして、打ち手はそこにどのような自分の「想い」を込めて演奏するのか。
その「想い」が明確になり、伝える手段(技術)を得た時、曲は初めて表現となり無限の世界へと拡がっていくのです。

音楽とは表現であり、表現とは自分の想いを伝えること。

「太鼓って楽しい」
もしそう思ったら、それはすでに表現の第一歩を踏み出しているのです…。
  ◆ 組太鼓曲

・ 炎 (かぎろひ)

ローソクに灯るゆらゆらとゆれるやわらかい炎。やがて、野を走り、大きくうねり、激しくぶつかり、ついには天に向かって燃え立ち上がる。

・ 海響 (かいきょう)

遥かかなたの遠い昔から、時に優しく、時に激しく、何者も拒まず、何人も近寄らせず、悠久の時間の中でただひたすら繰り返される不変の響き。

・ かざぐるま

新緑の土手を駆け抜ける軽やかな風に、カラカラと音を立てて回る"かざぐるま”。ゆっくり優しく、激しく強く、羽になって風に乗って・・・。

・ 神無月 (かんなづき)

祈念と感謝。その土地土地に継がれてきた数多の祭に思いを馳せ、「昂揚」「楽しさ」「ワクワク感」をバチ先に込めて。平置太鼓と締太鼓の二重奏曲。

・ 開 〜はじまりとひろがり〜 (かい はじまりとひろがり) <中国語訳:生命的躍動>

初めて太鼓を打った時、体の奥底に響いた「ドン」という力強い音動。全てはそこから始まり、やがて幾重にも音を編み、広がり、そして還る。

・ 未来 (みらい)

横浜市にある小学校の校歌をモチーフにした当校オリジナルの組太鼓曲。締太鼓と長胴太鼓に分かれた複雑でテンポのある曲を、毎年6年生が披露。

・ 海生 (かいせい)

一艘、また一艘と沖へと向かう漁師船。夫婦、親子、男、女。そんな海に生きる漁師たちが船上で獲闘する姿を、荒々しくも力強いバチ捌きで舞い打つ。

・ かごめ

時間の経つのも忘れ、無邪気に遊んでいた頃の自分に戻って、純粋に楽しく太鼓を打ち鳴らす。「かごめ」「だるまさんが転んだ」からなる太鼓組曲。

・ 陽だまり

ポカポカと暖かい陽の光を浴びて、楽しげに踊る陽気な花々。突如始まった虫たちのバトルはダイナミックに力強く。ウラ打ちのリズムに乗った軽快な曲。

・ 天地の光 (あまつちのひかり)

「三獄門」「閻魔裁き」「地獄絵図」「六道天」の4パートで構成された、天国と地獄をモチーフにした組曲。楽あり苦あり喜びあり!?  はてさて死後の世界とはいかに?


・ 月虹 (げっこう)

流れゆく時間(とき)に心より添えば、夜の帳に弧を描く淡い光が身を包む。満ち満ちたこの熱い想いを、今宵こそはあなたに伝えよう。

・ 道 (みち)

大地を真っ直ぐに貫く一本の道。一人で進むか、誰かと共に進むか。喜びがあり、哀しみがあり、時に立ち止まり、そしてまた進んでゆく。一歩一歩、その先に向かって。

・ 愁灯 (しゅうとう)

茜色に街を染める秋の夕暮。舞散る木の葉が足元をかすめるカフェのテーブル。やがて灯る街灯に、薄暮の街は輝きに包まれ…。そして、にわかにざわめき始めた通りの中へ、二人の影が溶け込んでゆく。

・ 豊穣 (ほうじょう)

空高く青く澄み渡り、緑一色だった野や山が黄金や紅に染まる頃。人々は酒を酌み交わし、歓びを歌い、舞い、語らう。そうして、一年の労をねぎらい、豊かな実りに感謝を捧げる。

・ 空に風 (そらにかぜ)

あの青い空を突き抜けて、どこまでも、どこまでも、吹き続ける風のように…。その風は、過去から吹いてくるのか、それとも未来へと吹いていくのか。

・ 魂の川 (いのちのかわ)

人は、どう生きてどう死ぬのか。愛、怒り、希望、絶望、野望、孤独、喜び、苦しみ。一筋縄ではいかない人間の本性と魂の叫び。ただひたすらに必死に生きることで、受け継がれてゆく。



 ◆ 大太鼓曲


・ 月山 −夏− (がっさん なつ)

風雪厳しい過酷な冬が父であるなら、その穏やかで柔らかい表情を見せる夏は、深い慈愛に満ちた母の面影。大太鼓で奏でる響きが、月山の頂を越え・・・。

・ 銀の花 (しろがねのはな)

鈍い輝きを放つ黒岩に、大きく砕けて花開く銀の波飛沫。一面を覆う鉛色の空に、寄せては返す幾重もの白波。色づく春が待ち遠しい晩冬の日本海を描いた曲。

・ 卯月野 (うづきの)

初夏。百草生い茂り、緑深まる野山。力強くも淡々と、まるで約束を果たすように上へ上へと伸びていく草木は、未来を紡ぐ若い生命の力。

・ 山河薫風 (さんがくんぷう)

田の水が陽光に煌き、緑に染まった山々は遠くに残雪を望み、流れる川の澄んだ音色、風に運ばれてくる花の香り。優しく、力強く、雄大な自然に抱かれて。

・ 宙 (そら)

生まれては消え、生まれては消える無数の星。果てしなく長い時間軸の彼方。その全容を見ることは叶わず、想像力と好奇心が描く未知の空間を、銀河鉄道が翔けてゆく。



 ◆ 締太鼓曲


・ 春景 (しゅんけい)

残雪から覗くかすかな水の流れは、山を下り谷を巡り野へと続く。鳥たちのさえずりをのせて吹き渡る風はやわらかく。春の光に、しづ心なく、花の散るらむ。

・ 蛍影 (ほかげ)

やわらかくも力強いその美しい光が、しかし永遠に輝き続けることはない。人の一生もまた、ひと夏の宵に消えゆく蛍火のごとく、短く儚いもの・・・。

・ 島 〜太陽と風と魚と月と〜 (しま たいようとかぜとさかなとつきと)

水平線から上る太陽に、島が輝きを得る。風になびく草花の波は、そのまま沖へとつながり。魚たちの舞に潮は流れ、月へと導かれる光の海路を、一艘の舟が静かにすべってゆく。

・ 雪明の闇 (せつみょうのやみ)

しんしんと降り続ける雪。天地の境無く、野山の別無く。時に静謐にして激しく、荒々として動ぜず、波はうねり、明にして何も見えず。凍てつく白い闇の先に、小さく輝くは光か幻か。

・ ほおずき

太陽を思わせるオレンジ色の実が夏の到来を告げる。大きくはじけるその実のように、夜空に数多の大輪を描く花火大会。カラコロと下駄の音を響かせ、たくさんのドキドキが詰まった季節が、再びめぐる。





音から音楽へ--------。

ひとつひとつの音を突きつめることによって、音楽の根拠となる。




曲紹介 
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